ローマ文化【人名こじ付け早覚え】

*このページでは、ローマ文化人名とその著作についての知識を速成します。大したことはありません。先ずは、文学です。

文学

・キケロ

B.C.103〜43
キケロの『ロ』は、漢字の『口(くち)』です。俺が口でしゃべる話を『聞け(キケ)!』ということで、キケロは雄弁家です。
お話が上手いので、政治家としても活躍しました。
政治家として書いた著作は『国家論』『法律論』などがあります。
政治家だから、国家を論じ、法律を論じる訳です。
文章はラテン語の模範(お手本)とされました。ローマだから『ラテン語』ですね。


・ウェルギリウス

B.C.70〜19
ラテン文学の最高傑作とされる、ローマ建国の叙事詩『アエネイス』を書いた詩人です。

ローマ建国の物語自体、ギリシア神話ですが、ウェルギリウスは、ラテン語でこの叙事詩を書く際に、ギリシア語ホメロスの叙事詩を、モデルとしました。
つまり<古き良き(wellウェル)ギリシア>をモデルにしたので、ウェル(well)ギリウスです。

『アエネイス』
実は、伝説では、トロイア王家アンキセスと女神アフロディーテの息子、半神アエネアスが、トロイアの滅亡後に、イタリア半島に逃れ、ローマ建国の祖になったとされているのです。
で、ウェルギリウスは、当時のアウグストゥス帝政ローマを讃えるために、ローマ建国の物語を叙事詩にして、皇帝に献上しようとしたのですが、その途中で熱病にかかったため、下書きの段階で世の中に広まるのを嫌って、下書きを焼いてくれと遺言して死にました。
然し、皇帝アウグストゥスは遺言の実行を許さず『アエネイス』は焼却を免れて現在も人々が読むことができる、という訳です。で、結局、作者は作品の完成の日の目には『会えねいっす』ということで覚えます。

・ホラティウス

ホラティウスウェルギリウスとほぼ同時代、ラテン文学全盛期の詩人です。

詩人は美しい『ほら(法螺)を吹く』人ですね。
で『法螺てぃうす』は詩人です。

作品として『抒情詩集』を書きました。『抒情』とは、主観的な気持ちや思いを表現することで、それをうたにするのが、抒情詩集なので、その気持ちに「嘘はない」んでしょうけれども。

ホラティウスギリシア文学に惚れこんでアテネに留学しました。


・オヴィディウス

恋愛詩で、ローマ市民に愛された詩人です。
これは『ほのかな恋心』を帯びディウスと覚えましょう。
作品もそのまま『愛の歌』です。
届け愛の歌、君に届け愛の歌です。
しつこいですね。


*以上、文学は、キケロ・ウェルギリウス・ホラティウス・オヴィディウス四人がでました。ここで、覚えているか確認よろしく。

哲学

・ルクレティウス

ヘレニズム文化から続くエピクロス派の哲学者です。
大体、キケロと同じくらいの時代の人です。
『事物の本質について』という著作を残しています。

で、事物の本質ルック(look)』レティウスと覚えます。

ルクレティウスは、他の哲学者と比べて特別メジャーという訳ではないのですが、時代が一番古いのと、エピクロス派の哲学者が一人なので、先に覚えます。

*以降はすべて、ストア派の哲学者です。


・セネカ

暴君として有名なネロ帝の家庭教師をつとめました。セネカの名前を『ネ』ロの『セ』んせい『カ』!と突っ込みを入れて読んで下さい。レ点が要ります。

で、ネロ帝の政治に関わって、様々な活動をする訳ですが、最終的にはネロを退位させる陰謀にかかわったという疑惑で、ネロに『自殺』を命じられてしまいます。

ここは単純に、

『ネロに言われて自殺をセネカ(せんか)』

と覚えるのがいいでしょう。

主な著作としては『幸福論』です。セネカの最後を考えると皮肉ですね。幸福論を書いて自殺を命じられるとは皮肉だなぁ』と思っていると覚えられます。


・エピクテトス

欲望に『ピクリ』ともせず『停止』する、ということで『えピク停(テイ)(ト)
エピクテトスは、禁欲による精神修養を重んじた哲学者です。

著作も『語録』!です。『語録』って、タイトルも禁欲的ですね。つまり、男は黙って著作残さず、ということでしょう。

エピと言えば、えび・えびす(蝦夷)は、昔の日本では、卑しい者に対して使われた言葉で、ここからエピクテトス『奴隷出身』ということも覚えられます。


・マルクス=アウレリウス=アントニヌス

五賢帝の最後の人で『哲人皇帝』と言われました。
マルクス=アウレリウス=アントニヌスは、何となく何回も、言えるように練習したくなる名前選手権、第一位みたいな名前ですので、行けるでしょ?

これは、五賢帝と一緒に覚えればいいと思います。
『五賢帝』youtube音声 

五賢帝は『ネットは後になすマルクス』です。ネット見たいけど、見だしたら止められん様になるけん、宿題してからにしよ!と言うマルクス君です。
さすが『五賢帝』『哲人皇帝』ですね。

マルクス=アウレリウス=アントニヌスは、自己反省をして『自省録』を残しました。

とはいえ、政治に、自己の内面的な倫理を交える施政者というのは、誠実さだけが売りで、実際には、いまいちパッとしない、ちょっとずれてる感が否めない人が多いように思いますね。


*以上、ローマ時代の哲学者として、ルクレティウス・セネカ・エピクテトス・マルクス=アウレリウス=アントニヌス四人を上げました。どんな人か覚えてますか?

歴史・地理

・ストラボン

ストラボンと聞くと、私的には、サザエボンとかキティボンのイメージなんですが。

各地の地理にからめて、その土地の歴史を語っていった『地理誌』が代表作です。

物語が『ストーリー』で歴史は『ヒストリー』です。その土地、土地の歴史のストーリーを語っていったストーリーボン』なので、縮めて『ストラボン』です。

著作は『ちり紙』ではなく『地理誌』です。


・プルタルコス

プルタルコスと言えば『対比列伝(英雄伝)』の著者で、ギリシア時代から、ヘレニズム時代、ローマ時代に至るまでの、英雄、賢人たちの興味深いエピソードなどがたくさん書かれています。

正に、英雄たちの話がフル(full)足る個数な作品が『対比列伝』です。


・カエサル

カエサルは、帝政前夜のローマの大政治家で超有名人ですから、オレを知らないなら文化史の前にローマ史学んでから来い、という位な人です。

つまり、門の前で突き『帰さる(カエサル)』くらいな人です。

このカエサルは、大政治家であるばかりでなく、ラテン語の名文家としても知られています。

それは、どちらかと言えば、果断な軍人・政治家としての能力が文章にも現れた、という感じの『簡潔で的確、無駄がない』という意味の名文です。

代表作は、カエサルの功績として有名な、ガリア遠征のときに書かれた『ガリア戦記』です。

ガリアは現在のフランス辺りですが、お洒落なイメージのフランスも、当時は辺境未開の地でした。

そのガリアで、カエサルは、ユトランド半島(現在のデンマーク)周辺を根拠地とするゲルマン人と戦闘を繰り広げていました。

ゲンマン人は、北欧はじめ、ドイツ・イギリス・オランダ・スイス人などのご先祖ですね。

『ガリア戦記』は、タキトゥスの『ゲルマーニア』と共に、当時のゲンマン人の社会を知る貴重な資料とされています。


・リウィウス

リヴィウスとも言って、アルファベットで書くと、Liviusで『live』と関係しますね。
live』と言えば、生きる、生活するで、人の人生です。
正に、人が生きて来た『歴史』を書く、歴史家らしい名前です。

『リヴィウスは歴史家』ということが、中々思い出せない場合もあるので、先ず、これで覚えて下さい。皇帝アウグストゥスの時代の人です。

著作もまた、ローマが『生きて来た全歴史』を描く『ローマ建国史(ローマ史)』という通史を書きました。142巻もあります。


・タキトゥス

タキトゥス『ゲルマーニア』は、先にも書いたように、カエサル『ガリア戦記』と並び、当時のゲルマン人社会について、たくさんのことが書いてある貴重な史料という性格があります。

タキトゥスの『ゲルマーニア』は、インパクトの強い名前なので、10回くらい
〈タキトゥスのゲルマーニア〉
と声に出して言ったら覚えると思います。

当時のゲルマン社会について『多記とす(タキトゥス)』のゲルマーニアです。


・ポリビオス

『ポリ』と来たら、ポリ袋とかポリ容器とか、ポリエチレンポリスチレンポリ塩化ビニルといったプラスチックが思い浮かびます。
で、これらはリサイクルの対象です。
ということで、ポリビオスは、歴史は繰り返すという循環史観に立って、ローマの発展を説いた歴史家です。

『ポリ日推す(ポリビオス)』ということです。燃えるゴミは何曜日回収で、リサイクルゴミはキチンと分別してね、といった感じです。

そんなポリビオスの代表作は、ズバリ『ローマ史』です。


*以上、地理・歴史は多いですね。
ストラボン・プルタルコス・カエサル・リウィウス・タキトゥス・ポリビオス
全部で6人です。
何を書いた人か、思い出せますか?

自然科学

*最後に自然科学です。

・プリニウス

カードなんかで、全部そろえることをコンプリートって言いますね。

世の中の、あらゆる物コンプリニウス』!で、プリニウスは、動植物・鉱物・天文・地理・医学など当時の幅広い知識をおさめた百科事典『博物誌』全37巻をつくった人です。

実用主義的なローマの文化らしい功績ですね。


・プトレマイオス

ギリシア(ヘレニズム文化)の時代には、すでにアリスタルコスが出て、地球の公転・自転を説いていました。
が、その後、ヨーロッパでは1000年以上もの長きにわたり、地動説は影をひそめ、天動説が学問の権威となっていきます。

そのもとになったのが、プトレマイオスの天動説です。
つまり、大地が動いたら、地上の人は、上手くバランス取れまいよ(トレマイオ)』とす()る訳です。
思わず失笑して『プッ、取れまいよ(プトレマイオ)ス』という訳です。

天動説は、すでにアリストテレスが説いていましたが、プトレマイオスは、天動説の理論を完成しました。著作は『天文学大全』です。

*これで終了です。どうですか?それほどハードルは高くないでしょ?後は、人名から作品名やその他のキーワード、作品名から人名、双方向で書けるかチェックしましょう。で、余裕があれば、分野ごとに人名を全部順番に言えるようにして、文学4、哲学4、地理・歴史6、自然科学2で管理できれば、一通り相手を掌握したことになります。

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