教科書レベルでいきます。山川出版の世界史の教科書から、本文に言及されているフランス国王をすべて抜き出してみました。特にねらいとするところは
「同じ名前で○世だけ違う奴が覚え辛い」
「数字が飛んだり何度も出てくるのでごっちゃになる」
フランク国王
(宮宰カール・マルテル)
→トゥールポワティエ間の戦い(732)
[カロリング朝]
①ピピン
1. メロヴィング朝を廃してカロリング朝を開く (751)
→ランゴバルド破りローマ教皇にラヴェンナ寄進 (752)
↓
②カール大帝(シャルルマーニュ)
1. ランゴバルド王国征服 (774)
2. ザクセン人服従
3. アヴァール撃退 (791)
→カールの戴冠(西ローマ復活) (800)
↓
フランク王国分裂
カロリング朝断絶
↓
[カペー朝]
・『床普通、ルックの振りしてカペー朝』
1
①パリ伯ユーグ・カペー (987)
↓
②フィリップ2世 (1180)
→ジョン王と争い国内イギリス領大半奪う
↓
③ルイ9世
1. アルビジョワ派を征服南フランスに王権広げる。
2. ルブルックをモンゴル高原に派遣。
↓
④フィリップ4世
1. 三部会の承認のもと教皇と争う。(1302)
2. ボニファティウス8世を連れ去る(アナーニ事件)(1303)
→アヴィニョン教皇庁
↓
[ヴァロワ朝]
・『フローシャル、なぜふらふらしゃっくりアンサーヴァロワ朝』
2
① フィリップ6世→百年戦争(1339)のきっかけ
↓
② シャルル7世 (1422)
→ジャンヌダルクがオルレアン包囲破る。
→戴冠→王権の強化
・大商人と組んで財政建て直し。
・常備軍の設置。
↓
③ フランソワ1世 (1515)
ハプスブルクと領土を争う。
→カトー・カンブレジ条約 (1559)
↓
④ シャルル9世 (母カトリーヌ=ド=メディシス)
→ユグノー戦争始まり(1562〜1598)
↓
⑤ アンリ3世→ヴァロワ朝断絶(~1589)
↓
[ブルボン朝]
・『ある親類天ぷらさし込むわシャッとブルボン朝』
3
① アンリ4世
1598.4.30 ナントの王令
② ルイ13世(子)
宰相リシュリュー→マザラン
・三十年戦争 (1618)
③ ルイ14世(子)(太陽王)タイヨー→14 (1643〜1715)
・フロンドの乱 (1648)
・マザラン死後親政
→ボシュエ(王権神授説)重用
→財務総監コルベール(重商主義)
・ヴェルサイユ宮殿建造
・ナントの王令廃止(1685)
・ネーデルラント継承戦争・オランダ侵略戦争
ファルツ戦争(アウグスブルク同盟戦争)
・(1700)孫フェリペ5世→スペイン継承戦争 (1701〜1713)
→ユトレヒト条約
④ ルイ15世(曽孫)
・オーストリア継承戦争 (1740)
・七年戦争(1756〜63)・フレンチインディアン戦争・カーナティック戦争
⑤ ルイ16世(孫)
・テュルゴー・ネッケル
・フランス革命→人権宣言(1789)<第一共和制>
・ジャコバン派の政権下で処刑
↓
[ボナパルト家]
ナポレオン帝政(第一帝政)
↓
[ブルボン朝]
⑥ ルイ18世(弟)
・パリ占領 (1814)
・ワーテルローの戦い(1815)
⑦ シャルル10世(弟) 七月革命 (1830)→亡命
↓
[オルレアン朝]
①ルイ=フィリップ(自由主義者)
・七月王政
・二月革命(1848)→亡命
↓
<第二共和制>
↓
[ボナパルト家]
ルイ=ナポレオン
ナポレオン3世(第二帝政)
・普仏戦争敗戦
↓
<第三共和制>
全体像
① まず、上の王朝名と王様の名前が全部言えるようにします。これがこのページの目標です。これをAとします。
② 更に、それぞれの王様にその代に起こった主な事件や事績を結びつけて、ゴロ合わせで年号も覚えてしまいます。これで近代以前のフランスのおおまかな絶対軸ができる訳です。これがBです。
③ でも、個別の名前が出てきたときにも、パッと分かりたいものですね。で、目先を変えて同じ名前で「○世」だけが違う王様だけ集めて見分けられるようにします。これはCです。
A段階
① 上の流れはそれぞれ「王朝」ごとにまとめられているので、まず初めに「王朝名」を覚えなくてはいけません。こうおぼえます。
『カロリン・カペ・ヴァロ・ブルボン・ボナパル・オルレアン』
YouTubeの音源はこちらにあります。
もちろん省略している部分があるので、例えば「カロリン」は「カロリング朝」「ヴァロ」は「ヴァロワ朝」というようにきちんと言いかえられるようにしてください。
国王の名前を覚えるのと並行して固めていくのはOKです。ただ「このくらいだったらそのままでも覚えられる」というのはあまり好ましくないです。
・国王の名前が簡単に覚えられる。
・何も見なくても完ぺきに長く覚えていられる。
この二つのうまみが半減、あるいはなくなってしまう可能性があります。暗記が得意な人でも、明日はどうか?一週間後はどうか?一か月後は…?と考えてみてください。
このページの「国王名を覚える」という目標の土台になる部分なので、しっかり覚えましょう。
② 王朝名を覚えたら、次は国王名ですが、①の王朝名にはメロヴィング朝が入っていませんね。メロヴィング朝は、「フランク王国」の王朝名です。
「フランク王国」が三つに分裂して、つまり端三つに離れ(843ヴェルダン条約 870メルセン条約)て、今日の「フランス」「イタリア」「ドイツ」のもとになる3つの領域が成立するので、今回のフランスは三つに分裂した内の「西フランク王国」に当たります。「フランク王国」と「フランス」は歴史がつながっている訳です。今日の「France」は別に「フランク」と読んでもいい訳で、ずっとフランクのままとも言えます。
とはいえ、分裂後の「西フランク王国」を「フランス」の始まりと考えるならば、「フランス」の始まりはカロリング朝から、ということになるので、①の王朝名にはメロヴィング朝が入っとらんわけです。
説明はこれくらいで。カペー朝より前の国王の移り変わりを覚えるのに、アクセントとして良いワンフレーズはこれです。
『クロヴィスメロ朝廃してカロ朝小ピピン』
YouTubeの音源はこちらにあります。
「クローヴィスが起こしたメロヴィング朝を廃してカロリング朝を開いたのが(小)ピピンだ」ということです。本当にざっくり経緯が分かるでしょ?
あとは、ピピンの親父の「宮宰カール=マルテル」を覚え、更にピピンの子で、ローマ教皇から西ローマ帝国の「帝冠」を受けた「カール大帝」を覚えたらほぼ完成です。気付きましたか?どちらも「カール」ですね。覚えやすいです。
③ 問題はここからですが、カペー朝以降、ヴァロワ朝、ブルボン朝の3つの王朝には「フィリップ」「ルイ」「シャルル」「アンリ」など同じ名前がやたらと出てきます。これらに対する対策として一番ベタな方法は、王朝ごとに「フレーズ」で固めてしまうという方法です。これでとりあえずこのページの目的は達します。
すでに上に書いた流れの中に書いてありますね。まずカペー朝です。
*YouTubeにあげている「専用の音声教材」を使います。各王朝のフレーズをクリックしてもつながります。意味はあまり考えなくても聞き流して口ずさんでいるうちに覚えてしまいます。
1
① はじめの「床(ユ・カ)」これはパリ伯「ユーグ・カペー」のことです。
② 次の「普通(フ・ツー)」の「フ」は「フィリップ」「ツー」は「2(ツー)」です。つまり「フィリップ2世」のことです。フランス国王で「フ」と言ったらフィリップです。
③ 更に「ルック」ですが、これは「ル・9」ですね。「ルイ9世」になります。
④ 「振りし(て)」は「フリ・4(シ)」となりますね。「フィリップ4世」のことです。
⑤ フレーズのイメージは、友達かなんかの家に行って「床は普通だね~」とか言いながら、壁紙が異常に趣味が悪いのを見て見ぬふりをしている、という感じです。「カペー朝(かべ異常)」ということですね。
⑥ ともかく、フレーズを覚えて名前に直せるようにしておけば、「カペー朝」の必修の国王名を順番に覚えていることになります。
2
① はじめの「フロー」これは 「フ・6(ロー)」で「フィリップ6世」です。
② 次は「シャル、なぜ」までで「シャル・7(ナ)世(ゼ)」となります。「シャルル7世」のことです。
③ 次の「ふらふら」はかなりテキトーで申し訳ないですが「フラ」から「フランソワ1世」になります。「フランソワ」が出てくるのはこの一回きりです。また「1世」の場合は略してフレーズに入れないことがあります。
④ 更に次の「しゃっく(り)」は「シャ・9(ク)」で「シャルル9世」になります。
⑤ 最後の「アンサー」は「アン・3(サー)」です。「アンリ3世」です。
⑥「フローシャル(floatial)」は「float」がコーラフロートとかの「フロート」で、プカプカ浮いて漂うことなので「floatial」はその漂っている感じを表す造語です。「なぜふらふらしゃっくりアンサー」につながります。つまり「酔っ払い」ですね。で「酔っ払い」はよくクダを巻いて「バーロー」とかいう訳です。「ヴァロワ朝」につながります。
3
① 初めの「ある親」の部分は「ア(る)・4(シ)」 で「アンリ4世」です。フランスで『ア』ときたら『アンリ』で決まりです。
② 次の「類」は「ルイ」で「天ぷら」は「10(テン)+(プラス)」ということになります。
そして、次の「さし込むわ」の部分が「3(サ)4(シ)5(コ)6(ム)8(ワ)」でこれらの数字を「ルイ10」に「+(プラス)」したものが国王名になります。それぞれ
「ルイ13世」「ルイ14世」「ルイ15世」「ルイ16世」「ルイ18世」です。
一気に進みましたね。
③ 最後に「シャッと」が「シャ・10(とお)」となるので「シャルル10世」です。
④ このフレーズはあまり説明はいらないでしょう。「ある親類」がフライパンの中の高温の油に「天ぷら」をさし込んだときの音が「シャッ」です。言いますよね。「シャッ」と。
*A段階は以上で終了です。お疲れさまでした。ここまでマスターすれば、とりあえず教科書本文に出てくるフランスの国王名については、どの王朝の何番目に出てくるか知っているということになります。
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