世界史ですが、このページはテンプル騎士団とはあまり関係有りません。検索で来られた方は申し訳ないです。
ここでは僕の使っている『テンプレ世界史』とは何か、どんな狙いのもと作られているのかといったことの説明を行っていきたいと考えています。
『テンプレ世界史』目次はこちらです。
テンプレ世界史と『把握』
「把握」という言葉があります。この字はそれぞれ「とらえる」と「にぎる」という二つの文字でできていて、どちらも手偏でできています。
つまり「把握」とは、手の平でしっかりつかみとることです。
もっといえば、両手ではいけません。片手でがっしり鷲づかみにして握りつぶす勢いです。
『テンプレ世界史』でやろうというのは、まず、世界史の全体像の「把握」ということです。自分が一体何を勉強するのかということ、具体的には世界の各地域のタテ割りの歴史をざっくりと一フレーズの中に鷲づかみでつかみ取り、ポケットに入れてしまおうということです。
これは、世界史という教科がなかなか全体像の「把握」がしにくい教科だということを前提にしています。
『テンプレ日本史』はいらない
日本史では全体像の「把握」はそれほど難しくありません。だから『テンプレ日本史』を作る必要はありません。
じゃあ何で日本史では全体像の「把握」が難しくないのか?まあ、一つは「日本」という一国の歴史の流れですから、そこで混乱するということはあまり考えられない、ということになります。
が、もう一点、私たちは「日本史」を小中高と段階的に学んでいるということが重要です。
日本史では国の名前は「日本」というひとつの国しかでてきませんが、そこにはいくつかの時代区分が存在します。(リンクはYouTubeです)
「旧石器・縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・建武・南北・室町・戦国・安土桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成」という区分です。
これは初めはたくさんあって覚えるのが大変だと思うかもしれませんが、長々と続く歴史を適当に区分けすることで、それぞれの時代ごとのイメージが作りやすくなるという、とてもよくできた工夫です。
この区分があるので「この時代には何があった」とか「この時代の農業はこうだった」とかいうことが大まかでもざっくりと言い表すことができる訳です。そして小中高と段階的にその内容はより詳しく、細かいものにすることができます。
中には「平安時代」のように400年も続く、時代区分として長すぎるものもありますが、これも「平安前期・中期・後期・末期」と分けて考えればいい訳です。
こうした分け方ができるのも、イメージしやすい時代区分が存在するからで、全体の中で「平安時代」はこのあたりの時代だ、と「把握」できているからです。
全体が「把握」出来ているから、細かい部分を安心して考えることができる訳です。
もっとも、高校大学になるともう「○○時代」などとイメージにとらわれた言い方をするのを好まず、「中世の~」とか「17世紀は~」とか言い出すことになりますが、そのように言っている専門の先生方ですら、小中学生だった頃は「○○時代」と覚えていたのです。
「専門の先生方ですら歴史の全体像の『把握』のために必ず活用していた歴史時代名」と言うと中々の優れものだと感じられます。
「世界史」には準備段階がない
ここで翻って「世界史」はどうかというと、まず小学校では「世界史」は扱いません。
中学の歴史には西洋史はかなり組み込まれていますが、それでも国ごとの歴史をイメージするにはとても十分なものではなく、それ以外の地域は気持ち程度しか触れられていない状況です。
つまり「世界史」は「日本史」と違って、初めにざっくりと全体を見渡せる知識を作っておいて、後から徐々に詳しくしていくという「過程」がありません。
私たちの多くは高校の「世界史」を学ぶ前の準備段階をほとんど持っていないわけです。
こうした状態で「さあ、今から世界の歴史を学ぶぞ!いや君らは高校生ですから。各地域の細かい歴史も覚えて当然ですからー!」と大上段から振りおろしてくるのが高校世界史です。
世界史の学習におこりがちな「混乱」
「世界史」はもちろん「世界」の歴史ですから、世界中の各地域を扱うことになります。
なので、私たちはヨーロッパについて学んでいたかと思えばインドに飛ばされ、インドのつもりがいつの間にか東南アジアが入ってきて、次は中国、次はイスラーム世界、かと思えばまたもやヨーロッパに戻ってくるというループに巻き込まれます。
加えて、高校生が世界の歴史をすべて詳しく学ぶという訳にはいかないので、どうしても内容は「広く浅く」になりがちです。あまりふれない部分があちこちに出来てきます。
結果、つながっているのかいないのかもどうしていつからそうなったのかもよく分からない、でも時間がないからあえて突っ込まない、といった全体としてかなりふわふわした知識になります。
また、この過程で世界史特有のカタカナ攻撃が結構なジャブになって効いてきます。
サーサーン朝、サッファール朝、サーマーン朝、サファヴィー朝、サータヴァーハナ朝…
「サ」が頭の王朝を並べてみるだけでも中々「これはこれは」という感じですね。基本的にカタカナであるというだけでも字面の個性は失われ、日本人が発音しにくい語も多くなります。更に、人間は大抵「頭」の音で名前のイメージを作ることが多いのです。
このような点で、世界史の名称は何の心構えもなく勉強していると、自然に混乱してくるようにできていると言えます。
初めの方で甘く見ているとそのうち「あれ、何か前似たような名前出たよね。あれいつの時代だっけ?…ってか場所どこだよ。」ってことになりかねません。もちろん逆に新しく覚えた名前で前に覚えた名前が、知らない間に上書きされてしまう、なんてこともありえます。
こうした混乱が起き始めると、ゴキブリ一匹見つけたら10匹、ではありませんがあちこちにほころびが出てきてこれを収拾するのにかなりの時間を使わなくてはならなくなります。
「でも、それを復習して埋めていくのが勉強ってものでしょ」
そうですね、ごもっともです。そのようにスパッと言いきれる方が理想です。でも時間は無限ではありません。きっちり時間をかけて以後は忘れない、という方法があればそれに越したことはありません。
また、覚えては忘れ覚えては忘れなんてとてもじゃないがやってらんないよという人も中にはいるでしょう?仲間ですね。
『テンプレ世界史』颯爽と登場
以上のような問題を踏まえて作られたのが『テンプレ世界史』です。
まず、ある地域の歴史をカンタンなタテ割りフレーズで「ザクっと」覚えてしまおう。この際、日本史の例で説明した「歴史時代名」に当たるものが、世界史では主に「王朝名」になります。
日本では王朝の交替は起こりませんが、世界の他の地域では大体国が変わったり、王朝が変わったりということがあります。これらの「国名」あるいは「王朝名」を登場の順番に並べて丸ごと覚えてしまうだけで、ある一つの地域の歴史の全体像、見取り図がはっきりとします。
「丸暗記得意じゃないんだよ」
「暗記するんなら今までやってることと同じじゃんよ」
大丈夫です。
『テンプレ世界史』とじゅず学
ここで登場するのが、このサイトで特に重視している「じゅず学(数珠つなぎ暗誦法)」です。これは、どんな種類の知識であれ、一連のことばを数珠つなぎにして丸覚えしてしまうという単純な暗誦法です。
まあ、ごくごくありふれた暗誦法に過ぎません。
然し、専門家が「忘却曲線がー」とか「短期記憶がー」とか言っている議論をどこ吹く風と吹き飛ばすだけの戦闘力があります。
研究によれば…まあわざわざよる必要もないことですが、無意味な言葉の暗記ほど私たちは忘れやすい、といいます。
然し、例えば「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ…」あれ、意味あるんですかね?まあ部分的にはあるんでしょうが、全体としては全くナンセンスです。それでも小学生すら立派に覚えられます。
それは子供の方が暗記力があるから…いえいえ、大人でも覚えられますよ。
なぜ無意味な言葉の羅列でも覚えられるのか?知ったことではありませんが、唯一言いきれるのは、意味があろうが無かろうが、私たちは暗誦したフレーズを口にする間、それらの意味なんか考えちゃいないということです。
九九を言ってみれば誰でも分かるでしょう。
初めから意味なしで出てくるフレーズに意味があるかないかなんて大したことでないのは当たり前です。
この暗誦法で覚えた記憶は再生スピードが速く正確でしかも疲労がなく忘れにくいです。唯一、覚える過程で相応の時間は使います。それも個人差と熟練度の差はありますが、勉強で覚えたい全ての内容に適用するのは効率的ではないでしょう。
然し、この『テンプレ世界史』の目指す、地域ごとの「国名」あるいは「王朝名」を順番に並べて丸ごと覚える、といった歴史の全体像作りにはこれほどうってつけな方法はありません。
それは『テンプレ世界史』のフレーズが、まさに世界史の知識を覚えていく上での「土台」にあたるからで、そこには「スピード」と「正確性」加えて「絶対に忘れない」ことが求められるからです。
全体の「土台」に当たる部分がこれ以上ないほど固まれば、勉強全体の効率が一気に上がります。したがって、もしそれが可能な方法があるなら、多少の時間をかけてもそれは時間のロスの内に入りません。
準備段階を埋める『テンプレ世界史』
「日本史」と違って「世界史」には準備段階がないということを書きました。『テンプレ世界史』のフレーズはまさにこの「準備段階の不足」を埋めるものになります。
例えば、「ササン朝」という王朝名が出たとき『テンプレ世界史』をかじっている人は、まだ本格的に勉強をしていなくとも「あーセレコパルティアサッサイスラムね、『パルティア』の後できて『イスラーム勢力』に滅ぼされるやつやな」という時代感でその名前を捉える事が出来ます。もちろん場所も分かります。
全体の中でのその王朝の位置づけがはっきりします。また、名前も他としっかり区別しています。だから安心してその王朝の知識を増やしていけるのです。
同じようなことを前にも書きました。そうです。これらの「王朝名」は「日本史」の歴史時代名と同じような役割をているわけです。
たとえ似たような王朝名があったとしても「じゅず学」を応用することでフレーズで固められているので揺らぎません。怪しければ、フレーズを言ってみればいいのです。口が勝手に再生して正解を教えてくれます。
『テンプレ世界史』は「雛型」
こうして固められた『テンプレ世界史』のフレーズは、世界史学習の「土台」になります。この土台作りの大切さはあまり気付かれていません。
例えば、いくら慣れない名前で頭が似ているからと言ってフェニキアとフェノールフタレインの区別がつかない、ということはあまり起こりません。前者は国の名前、後者は溶液の名前でそもそも教科、分野が違っています。
そう「社会」と「理科」「国」と「溶液」といったカテゴリーがしっかり分かれていれば、混同することはあまり起こらないわけです。
『テンプレ世界史』フレーズの「王朝名」はもしそれが体に染みこむほど身近で間違えようのないものになれば、その一つ一つが独立の「カテゴリー」になります。中学の「平安時代」と「鎌倉時代」が別のカテゴリーであり、「いやいや、全然ちがう時代でしょ」というのと同じことです。
「カテゴリー」は独立した一つの「箱」のようなもので、これがしっかりしていれば穴があいて外に漏れたり、他の「箱」と混同したりといったことはおきません。
ただし、他の箱との混同が起きないためには、一方の箱だけでなく、もう一方の箱も両方はっきりと「ラベル」で分けられている必要があります。
だから、新しい時代や地域の勉強をするなら、細かい知識はうろ覚えでいいですが、まず「箱」にあたる「王朝名」だけは、しっかりと『テンプレ世界史』のフレーズで固めておくべきです。
『テンプレ世界史』フレーズの「王朝名」がしっかりしていれば、社会と理科の知識を混同してしまうのを恐れることがないように、「サーマーン朝」なら「サーマーン朝」だけ「サファヴィー朝」なら「サファヴィー朝」だけを相手にして、安心して知識を深めることができます。
このように、地域ごとの「タテ割り」の歴史の全体像を固め、「王朝」という個々のカテゴリーの枠組みを用意し、世界史の詳しい知識を覚えていく上で、その雛型(テンプレート)になることから、これを『テンプレ世界史』と言う訳です。このテンプレは、あなたの「頭の中」に作りだし、自分の必要に応じて自由にカスタマイズできます。
『テンプレ世界史』は「背骨」
別のたとえを使って表すなら「背骨をつくる」という言い方をよく使います。
『テンプレ世界史』は、各地域のタテ割りの歴史を簡略化してまるごと覚えることで、まず全体を貫く「背骨」を先につくってしまいます。
じゅずつなぎで覚えた知識はまったく頭を労すること無くさらさらと出てくるので、更に詳しい知識を身につける上で、最上のナビゲーターになってくれます。
そして、それらの新たな知識は『テンプレ世界史』のフレーズを骨格として肉付けされていきます。
しっかりとした骨格が出来ていなければ、これに肉付けしていくことはできませんが、『テンプレ世界史』のフレーズをじゅずつなぎで暗誦してしまった「あなた」は、もう知らない間にその「骨格」を得ていることになります。
フレーズは、詳しい知識を覚えていく上で、自然とその雛型(テンプレート)になってくれます。
テンプレ世界史たるゆえんです。
世界史学習のジレンマ
前のところで、世界史学習におこりがちな「混乱」について書きましたが、『テンプレ世界史』など使わなくともそうした混乱が起こらずに済む方法があります。
それは「徹底的に詳しく勉強すること」です。
世界の歴史はすべて大昔から人間のやってきたことですから、本来それらが「人間」である私たちにとって面白くないものであるはずがありません。それらは詳しく勉強すればするほど面白いものです。興味がわけば次を知ろうという意欲もわきますから結果的に「効率もいい」ということになるでしょう。
「広く深く」勉強すればタテもヨコも、つながらないところはなくなり、あやふやな部分は解消されます。すると、全体の知識は揺るぎのない堅固なものになります。
それが「理想」であり、確かに世界史好きで無類に詳しい秀才肌の学生さんなどはこの好循環にはまっている訳です。
然しまた、これが万人向けでないことは多くの人が自分の胸に手を当ててみればわかることです。
初めから「広く浅い」知識、あまりふれない部分があちこちにあるような知識を求められているからには、その範囲内で効率よく勉強するしかありません。
とはいえ『テンプレ世界史』のフレーズはそのことによって起こる「混乱」には、対応できていなくてはいけません。「広く深く」勉強しなくても、出来るだけタテヨコつながらないところがなくなるような「形式」を備えていなくてはいけません。
『テンプレ世界史』使用上の注意
ということで、『テンプレ世界史』のフレーズには、高校生があまり勉強しないような王朝名や国名などが含まれていることがあります。これは出来るだけ「タテ割り」の地域の歴史を、はっきりとした、堅固なものにするためです。
もちろん、煩雑になりすぎると意味がない訳で、省いてもあまり困らないような部分は、ハズしているところが多くありますが、たとえ「ざっくりと」であれ、地域の歴史の流れは、抜けているところがないように、はっきり単純にイメージできた方がいいわけです。
また、このことが「ヨコのつながり」を考える際にも「肝」になってくることは容易に想像がつくでしょう。ある地域について詳しく勉強していても「あれ?この時代あそこはどうなってんだろう。載ってないしまあいいや」を繰り返すことが「あやふや」を積み重ねることになり、ひいては全体の「混乱」を生み出す原因になる訳です。
また、「じゅず学」のフレーズはある程度の長さがあった方がいいので、「王朝名」がひとつふたつ増えることで覚えやすさは大きく変わりません。
ということで『テンプレ世界史』のフレーズは「習わない部分があるから」といって省かないことをお勧めします。
それは『テンプレ世界史』のフレーズによって期待できる効果を十分に得られるようにするためです。
その他、諸注意は随時追加していきます。
①『テンプレ世界史』は全体として「近代より前」の各地域に重点を置いて作成しています。近代以降は、世界の一体化が進むので、世界全体を一つととらえた方が理解しやすい、つまり無理に『タテ割り』に合わせんでもええやん、ということです。また、近代より前がしっかり固まってきた時点で、世界史全体のイメージは十分かたまってきているといえます。後半を息切れせず乗り切るためにも前半をまずしっかり固めようということです。
②『テンプレ世界史』の初めはあえて「ヨーロッパ」や「中国」以外の各地域がくるように作成しています。「ここが分かりにくい」という生徒が多かったことからこのような仕様になりました。確かに「ヨーロッパ」や「中国」に比べて「それ以外」はイメージや流れが作りにくいように教科書自体がなっています。とはいえ、その辺りはユーラシア大陸のど真ん中で東西の世界のつながりをとらえるのに欠かせません。かゆいところに手が届くようにしたいという考えから、あえてこの順番のままにします。
*また、これから先の時代、「ヨーロッパ」や「中国」以外の各地域について知っておくことは段々と重要性が増していくことになると予想しています。
③ そうは言いますが、世界史のここが強化したい、ここが苦手だ、というのは人それぞれですよね。基本的に個人の好き勝手に自由につまみ食いしてもらって構いません。自分に必要なものをとりいれて下さい。もちろん、全面的に採用してくれれば、私が仕組んでいるねらい通りの効果が100%出るでしょう。この辺のポリシーは「ゴロ合わせについて」の方針と同じです。
④ これは結構重要です。現代の世界の国を知っていることは、世界史が最後に行きつく結末を知っていることになります。そして、世界史の勉強の目的も「現代の世界」の由来、成り立ちを知ることにあります。むちゃくちゃ重要です。「世界の国の名前を覚えるとか、地理の仕事じゃん」みたいなのはトンデモナイことです(笑) 自分自身、世界史がグンと分かりやすくなるためにも、今どの地域を勉強しているのであろうが、もし覚えていないのであれば、「世界の国の名前」は先に一通り覚えてしまいましょう。そんなに時間はかかりません。これを使えば。
*その際の強い味方が「世界の国の名前の歌」のシリーズです。これなら小学生でも確実に覚えられると保証します。言いきれるのは実際に教えてきているからです。