イオン化列と金属の反応性【カンタン覚え方】

イオン化列とそれらの金属の反応性について覚えるページです。まずは初めにこのページで覚えることを載せておきます。復習の際に使いやすいと思います。こいつらです。



*一つずつ説明していきますが、これは覚え方のページなので、教科書的な説明は省略して、ここでは覚え方のみを書いていきます。

0.金属のイオン化列を覚える

イオン化列は、左のイオン化傾向が大きい金属から、右の小さい金属へという順番に並んでいます。

上にあるように、このページでは

『結果何がある前提にすんな水道水ギンギン百均かね?』

という覚え方をおすすめしています。

とはいえ、このイオン化列には、すでに

『貸そうかなまあ当てにすんな、ひどすぎる借金』という有名な覚え方がありますね。

すでにそれで覚えてしまった、という人はそれで問題ありません。

個人的には、この覚えかたで『か』がKなのか、Caなのか分かりにくい!とか『あ』はアルミニウムか亜鉛かわかりにくい!

また、覚えても時間がたつとあやふやになる!

などの症状があったので、新たに『覚え方』を作ったのです。

この『覚え方』では、元素記号との対応が取りやすくなっているので、『貸そうかな』で覚えたけど間違えやすい、という人は、覚えなおした方がいいと思います。間違えなくなります。

金属元素との対応は、

となります。『な』がかぶっていますが『Na Mg(なむが)』の連続と『Sn Pb(すんな)』の連続は、化学ではペアで取り扱うことが多いのですぐ間違えることはなくなるでしょう。

意味は

『健康に気をつけてミネラルウォーターを飲んでも、病気にならないかどうか、結果はわかったもんじゃねえよ、そんなもん前提にスンナ、水道水なら、ギンギンに飲んでも、百均かねってくらい安いよ。』

という意味です。

実際どうかはわかりません。単なる覚え方です。


金属の反応性

『結果何がある前提にすんな水道水ギンギン百均かね?』

のフレーズで金属のイオン化列を覚えたら、次は金属の反応性を覚えていきます。

教科書的な説明はしないと言いましたが、ただ、覚えやすさにも関係してくるので、一応イオン化列の意味することを書いておきます。

分かっている人は、おさらいと思って見てください。

①『酸化されやすい』というのは、電子(-)を手放して+のイオン(陽イオン)になりやすい、ということです。

イオン(陽イオン)になりやすい、とはそれだけイオン化合物になりやすいということになるので『化学反応しやすい』ということでもあります。

上のイオン化列で左の方にある金属、カルシウムやナトリウムは、空気中でほおっておいても、空気中の酸素で酸化されてあっという間にさびてしまうくらい『反応性が高い』金属というイメージです。

それに比べて、右側の金属は逆に『還元しやすい』つまり、すぐに金属に戻ってしまいます。

中学の化学反応で出てきたように酸化銅は、木炭と一緒に試験管にいれて加熱すると銅に戻ります。

酸化銀は金属皿にのせて加熱するだけで銀に戻ってしまいます。

人間にたとえれば、新しい集団の中に放り込まれても、すぐにみんなと打ち解けて友達になってしまう人がいますが、これは『イオン化傾向が大きい』人です。

反対に、みんなと遊んでいても、気づくといつのまにか一人になってしまうタイプの人もいますが、この人は『イオン化傾向が小さく』『還元しやすい』人だということになります。

ちなみに『還元しやすい金属には金、白金(プラチナ)、銀など貴金属が多いです。

そう考えれば『ボッチ』もそう悪くないでしょう。

② ムシ歯に銀の詰め物をすることは最近はあまりやらないようですが、銀をつめた歯でアルミ箔などをかむと『だ液』を介して一瞬だけびりびりっと電流が流れて嫌な思いをします。

ガルバーニ電流などといって最近では少し有名になりましたが、これが電池の原理です。

どちらが正極(+)でどちらが負極(-)かは、イオン化列をみるとわかります。

上のイオン化列をみると、『アルミニウム』はイオン化列の左側で、右側にある『』に比べて、より電子(-)を手放して陽イオンになりやすいことがわかります。

つまり、電子(-)は、『アルミニウムから銀へ』と移動します。

電流の流れる向きは、電子の移動する向きとは反対になりますから、電流は『銀からアルミニウムへ』と流れた、ということになります。銀が正極(+)でアルミニウムが負極(-)です。

このように、様々な金属を電極に用いて『化学電池』をつくるとき、イオン化列でどちらがより左にあるかで、負極(-)になる金属を見分けることができます。


1.水との反応

*では、ここからいよいよ金属の反応性について覚えていきます。

『水との反応』は

『常に水菜高くて反応しない』

と覚えます。

『鍋をしようと買い物に行っても、最近、常にミズナが高くて手が伸びない、買う気が起きない(反応しない)』

という意味です。

①『』の部分は『温のとでも反応するのが、トリウムまで』ということを表します。

② 次に『』は『温の水となら反応する、という金属が、まで』という意味です。

③ これら二つの境界線を引いたら、残りの金属は『水とは反応しない』となります。

これで基本は完成です!

最初のイオン化列に実際に書きこむと、

となります。

ただし、です。

『高温の水となら反応する』といっても、水は高温になって100℃になると沸騰します。

つまり液体から気体へと状態変化します。

ということで、『Mg(マグネシウム)』で更に区切りを入れて、これのみ『沸騰水と反応』それより右は赤熱した状態で『高温の水蒸気と反応』とします。

実際に区切りを入れると、

となります。これで本当に完成です。


2.空気中での反応

*『空気中での反応』では、

① 乾いた空気中でもすみやかに内部まで酸化してしまう。

② 放置していると表面がじょじょに酸化されて酸化物の被膜が生じる。(ただし、強熱すれば内部まで酸化される)

③ 空気中で加熱しても酸化されない

の大きく3つに分かれます。

覚え方としては、このうち真ん中の『表面のみ反応』がどこからどこまでかだけを覚えます。

そうすれば、右と左は自然と決定します。

これが、

『上の空、マジ表面的すぎる反応』

です。

意味は、

『友達が、こちらの話を聞いているフリをしながら、実際は上の空で、マジ表面的な反応してくるし。』

という意味です。

①『上の空』は『上空』で、『空気中での反応』の覚え方だよ!というしるしです。

② あとは単純で、『マジ』つまりMg(マグネシウム)から、『スギ』つまり水銀までが『表面的』つまり表面のみ反応するということです。

実際に書いてみると、

となります。


3.酸との反応

*では次に、『酸との反応』の覚え方です!

酸といえば『水素イオン(H)』です。なので、まず、Hで境界を引きます。

そして、

① Hより左側が、『酸化力の弱い酸とでも反応

② Hより右側が、『酸化力の強い酸とのみ反応

と覚えます。

そして、『酸化力の弱い酸と反応する』Hより左側の金属には、もれなく

『水素(H₂)を発生する』

というオプションが付いてきます。

すぐにわかるように、ここでも『水素(H)』がキーワードになります。

更に、白金と金は金属の王様なので、ここだけ別格にしてあげましょう。

ということで、ここだけ区切って、

白金(Pt)・金(Au)→『王水とのみ反応

と覚えます。

基本は、これで終了です。

実際に書いてみると、

みたいな感じです。

とはいえ、これも

『酸化力の強い酸、弱い酸』

ってなんやねん、という話です。

また、

『王水ってなんやねん』

というのもあります。

それが分からないと、覚えても意味が分かりません。


・酸化力の強い酸、弱い酸

酸化力の、強い酸、弱い酸というのは、強酸弱酸という『酸の強さ』とは、違うものです。

強酸、弱酸とは、水に溶けている分子が、『どのくらい電離して水素イオンを発生しているか』を表しています。

たとえば、100%近く電離しているよ、というのが強酸、実は、0.1%以下しか電離してないよ、というのが弱酸です。

これに対し、酸化力とは『相手を酸化する力の強さ』、反応する相手の物質から、電子(e)を奪う力の強さのことです。

然しこれは、詳しくは酸化・還元のところで勉強しましょう。

ここでは、単純に『酸の三兄弟(塩酸・硫酸・硝酸)』の酸化力の強さを示しておきます。

酸化力の、強い酸、弱い酸の見分けるために、

まず、酸化力の強さは、

硝酸→硫酸→塩酸

の順番だと覚えます。

そして、更に上から、

硝酸→硝酸→硫酸→硫酸→塩酸→塩酸、

と順番に、

『濃と希』

に分けていき、最後にそれらを

真ん中で二つに区切ります。

つまり、濃硫酸と希硫酸の間に、線を引きます。

そして、線より上が、酸化力の強い酸、線より下が、酸化力の弱い酸、となります。

・王水

王水というのは、濃塩酸と濃硝酸とを体積比『3:1』でまぜたもので、酸化力が非常につよい液体です。

白金や金はイオン化傾向がすごく小さいので、濃硝酸にも、熱濃硫酸にも溶けません。

で、濃塩酸3に対して濃硝酸1とうまく混ぜた微妙な液体にだけ、どうにか溶かすことができるというわけです。

この、

『濃塩酸3に対し濃硝酸1(体積比)』

を上に書いてあるように

『塩見正一』(塩3:硝1)

と覚えます。王水に溶かす際、どんな反応式になるかは問題ですが、ここではとりあえず

『塩見正一君』

を覚えておきましょう。


4.自然界での産出

次に、各金属元素が、地中からどのような状態で産出するのかを覚えます。

書いて覚えるときは、上にあるように、

『自然界での産出』の、産(サン)にマルをつけ、口に出して言うときは、産(サン)を強く発音する癖をつけましょう。

これは『自然界での産(サン)出』の区切りの入れ方が、

酸(サン)との反応の区切りの入れ方と、全く同じ

だからです。

つまり、Hで区切りをいれ、白金・金の手前でも区切りを入れます。

左から、

① 化合物としてのみ産出

② 化合物または単体で産出

③ 単体でのみ産出

となります。

覚える上では、化合物のみ、化合物または単体、単体のみ、と省略してもOKです。

ただし、意味は分かるようにしておきましょう。

実際書いてみると、

こんな感じです。

左側の金属が、化合物として産出するのは、左に行くほど、イオンに成りやすい物質なので、まわりにある非金属と化合してイオン化合物になってしまうからです。

反対に、右側の金属は、イオン化傾向が小さく、還元して金属に戻りやすいので、地中から掘り出した時点で、単体の金属として出てくる訳です。


5.金属の精錬

最後に『金属の製錬』です。

ここでは、各金属元素の化合物があった場合、どのような処理をすれば単体の金属が取り出せるかを覚えます。

『製錬』とは化合物の状態で存在する金属を、単体として取り出すことです。

覚え方は、

『誘拐(ゆうかい)(いえ)電話あるぜ。しっこどうするカネ?』

です。

ちょっと不謹慎ですが、家族の誰かが誘拐された家庭があったとします。

もうすぐ身代金要求の電話がかかってきそう、というときに、

『ちょうどトイレに行きたくて仕方がなくなった!どうしよう!』

という意味です。

まず、この『誘拐、家電話あるぜ。しっこどうするカネ?』を繰り返ししっかりと覚えます。

さて、ここからですが、

「誘拐・家・電(ゆうかいいえでん)」

まではひとつながりで、

『融解塩電解(ゆうかいえんでんかい)』

という言葉を導きだすためにあります。

ユーカイ・イエデン、と、ユーカイエン・デンカイ、はよく似ています。

多くの人は「融解塩電解」自体がなじみのない言葉なので、これを機会に覚えてしまおうということです。

そして、『誘拐・家・電話あるぜ』の『あるぜ』はアルミニウム(Al)と、Zn(ゼットエヌ)、亜鉛です。

この二つの金属の間に境界線を引きます。

これは、「融解塩電解」という特別な方法を使わないと還元できない金属が、カリウムからアルミニウムまで、ということを表します。

これらの金属は『融解塩電解により還元』と覚えましょう。

次に、『しっこどうする』の部分ですが、

『しっこ』は『C,CO』

と書きます。

これは『炭素(C)、または一酸化炭素(CO)を使えば還元できる』ということです。

先にも、一度書きました。

中学校の理科で、酸化銅と木炭を同じ試験管に入れ、バーナーで加熱すると、酸化銅の酸素を木炭が吸収して二酸化炭素になり、酸化銅は銅に戻る。

という実験があったと思います。

あれです。

『炭素(C)、または一酸化炭素(CO)により還元』の境界線は、『しっこどうする』の『どうする』の部分、銀の間に引きます。

つまり前の境界のZn(亜鉛)から、今回の境界の銅、までが『炭素(C)、または一酸化炭素(CO)により還元』に当てはまります。

最後に、水銀(Ag)から金(Au)までですが、これは『しっこどうするカネ』の『カネ』に当たり、

加熱(カネツ)のみで還元する』

ということになります。

ここまでを改めて書いてみると、

一番右の金属元素は、還元しやすいので、加熱するだけで金属に戻ってしまうという訳です。

それに比べて、左の方の金属元素は、むしろイオンでいる方が安定しているので、並大抵の方法では還元されません。

だから、

『融解塩電解(ユーカイエンデンカイ)』

という特殊な方法が必要になるのです。

融解塩電解については後に詳しく学びますが、それ程難しいものではないので、その大まかな意味はつかんでおきましょう。

融解塩電解の『電解』は、『電気分解』を表します。電気分解は、中学で習いましたね。

例えば、塩化銅のようなイオン化合物を水に溶かし、プラス極(陽極)とマイナス極(陰極)の電極を入れて、電流を通すと、塩化銅が電気分解され、+極に塩素が発生し、ー極には赤茶色の光沢を持った、銅が出てきます。

このように、イオン化合物の水溶液に電流を通して、単体の物質を取り出す方法を、電気分解と言います。

然し、イオン化列を見れば分かる様に、これは、が比較的『還元されやすい』物質だからできることです。

水溶液の電気分解で金属に戻る物質は、イオン化列の水素(H)より右側の物質だけです。

Hより左側の金属を含む水溶液では、溶けている化合物ではなく、が電気分解されて、金属の代わりに、水素が発生します。

金属のイオン化列に、金属でない水素(H)が加えられているのは、これを見分ける為です。

融解塩電解とは、水に溶かして水溶液にして電気分解するのではなく、イオン化合物に高熱を加えてドロドロに溶かし、液体にした上で、電流を通して電気分解することです。

もともと、『融解』とは固体が液体になること、『塩』とはイオン化合物のことを表します。

つまり、『融解塩電解』の漢字の意味が分かっていれば、何をするのか自然と分かる名前になっています。

だからこそ、まず

『融解塩電解(ユーカイエンデンカイ)』

という名前を、しっかりと覚えることが重要になってくるわけです。


6.結び

以上で金属の反応性の説明は終了です。

説明を理解した後は、一番初めにあげた『覚えるべきこと』を見て、これが自分で書ければOKです。

とはいえ、です。

『金属の反応性5つ』何をどの順番でいえばよいかが分からなくなってはいけません。

ということで『金属の反応性5つ』の見出しを引き出す頭出しを載せておきます。

見てもらえば分かる通り『水草自生』と覚えます。

『水草は栽培しなくても自然に生えますよ』

という意味です。

この言葉を使って

みず』は『水との反応

』は『空気中での反応

』は『酸との反応

』は『自然界での産出

せい』は『金属の製錬

と一つずつ引き出して、区切っていけば、何も見なくてもいつでもどこでも自分だけで復習できるというわけです。