*覚えるためのポイントは他の「じゅずつなぎ暗誦」ともかぶっているところが多くありますが、ここでは『ニワトリ古典(文法立志編)』について書いてみました。
速く覚えるためのポイント
お手本を耳から
もちろん何度も自分で言ってみる、まずは目で読んで言えるようにするということが第一なのは言うまでもありませんが「いや待てよ」と思う訳です。「そういえば、自分が授業を受けた時は、何度も先生が言ってくれてその後について言ったなぁ。それに周りのクラスメイトが合唱する声も耳で聞いていたなぁ」と。
つまり自分で言って練習するのはもちろんですが、他人が言うのを聞くこと、特に「すでに言えるようになった人が言うのを聞くこと」「読みながらであれ、他人がリズムよくスラスラ言うのを聞くこと」が、早く言えるようになるためには、負けず劣らず大事なことなわけです。
そもそも音声の記憶というのは「耳」の記憶で「口」の記憶というのはないそうです。家庭教師の授業では僕も「何も考えなくても口が勝手に覚えてくれるから楽だ」ということを生徒に言いますが、これは主観的な感覚で、本当は「耳」だということです。
習字で毛筆の練習するとき、大抵はうまく書かれた「お手本」があって、それを見ながら真似をして書きます。その方が早くうまくなるはずです。
いきなり「はい、○○と書きなさい」と口で言われてお手本なしに練習するということはありません。
同じように「耳」で覚えるべきものは「耳」から「お手本」を入れた方がいいに決まっています。それも引っかかり引っかかりしながら言う音声を聞いても意味がないのは当たり前です。
スラスラと引っかからない、呼吸をつかんだ言い方を初めから「耳」に入れた方がいいということになります。
転ばぬ先の杖
これは自分でも何度も経験し、生徒の実例も上げることができますが、いきなり自分だけで言う練習を始めた場合、一度ある場所で引っかかる癖が付くと中々直らず苦労することがあります。もちろんその中には、もともと言いにくい箇所だから引っかかるということもたまにはありますが、面白いことに大半は「個人個人で引っかかる場所は違う」のです。
自分では「ここが言いにくいんだよなぁ」と言っていますが、そう言う箇所がみなバラバラである以上、それらの多くは「思い込み」だということになります。
一度引っかかり、あれ、もう一度と言ってまた同じ所で引っかかり、と繰り返している間、私たちの「耳」はちゃんとその音声を聞いています。私たちが同じ所で引っかかる音声を「耳」に聞かせている分だけ「ここで引っかかる」という記憶を強化していることになります。
つまり、自分で引っかかる場所を作って、自分で苦しんでいるということです。
そんな苦労は「ない」なら「ない」に越したことはない。多少は免れないにしても、出来るだけ減らせた方がいいに決まっています。
ということで、初めは、自分で言う前に、一通りこれから言う言葉を何回か聞き流してみる、ということをお勧めします。まさに「転ばぬ先の杖」です。
『聞こえ』てくると『言え』てくる
初学者にはいきなり言うスピードが速いと聞き取りづらいので、ゆっくり言った音声もできるだけ入れてあります。
然し、全てにゆっくり言った音声を入れてある訳ではありません。
「言うのが速すぎて聞き取れないよ」という意見もあるかもしれませんが、何度か聞いてみてください。段々と聞き取れるようになっていきます。
不思議なことに、自分が言えるようになると早口で言っているのを聞いても、全く早く感じなくなります。ということは、聞いていて「聞き取れるようになってくる」「速く感じなくなる」ことは、自分で言える段階に近付いているということです。